低炭素な未来へ向けて加速する
より大きなインパクトをもたらす
当社はそのサプライチェーンにわたり、検証を受けた「科学的根拠に基づく目標」(SBT)に沿って排出量を削減し、使用炭素量の節減によるメリットをもたらすべく取り組んでいます。
持続可能な原料に対する消費者の需要が高まっている事から、当社のお客様が炭素を含む環境フットプリントについて透明性と実証済みで裏付けられた主張ができる製品を提供する能力を求めています。代替えエネルギーへの転換や技術転換を通じた脱炭素化ロードマップの実現と、化石原料からバイオ原料への転換を進める事で、当社は製品レベルでの定量的な炭素削減を実証し、消費者の期待に応える事ができるのです。排出削減を含め、使うことでメリットをもたらす製品を開発する事は、お客様や消費者がより持続可能な暮らしを送り、二酸化炭素排出量を削減する事にもつながります。
以下の国連の持続可能な開発目標(SDGs)に直接貢献します:
SDG 7.2, SDG 7.3, SDG 9.4, SDG 12.2, SDG 13.2, SDG 17
Climate Positive: 2030年の世界
Croda 2022年 スコープ1、2、3 検定報告書
2021年 サステナビリティ・レポート
当社の進捗
カーボンカバー
2022年末における当社のカーボンカバー率は0.66:1でした―これは当社のスコープ1、2および上流のスコープ3での排出量に対して当社の原料を使用することによる削減貢献度の割合です。この目標はPTICの各事業を売却したことによる影響を受けています。当社の戦略のいくつかがこの計画の一部にあったためです。しかしながら、当社の意図はその水準を変えておりません。昨年はホームケアの新製品、CroBiotic 100をはじめ、3件の新たなケーススタディに対して検証を受けました。
下流側の温室効果ガス(GHG)排出量
当社のカーボンカバー目標は、下流側での削減に貢献しようというお客様をサポートする事を目指しています。削減貢献度の概念は、GHGプロトコルにより「製品のライフサイクルやバリューチェーン外側で、その製品を使用する結果として発生する排出削減」として定義され、しばしばスコープ4と呼ばれます。排出量削減はネットゼロへの移行に関する重要な部分となります。
当社原料の使用により下流側のスコープ3の排出量と、どうすればさらなる削減が可能かを既存の排出削減のケーススタディを超えて検討を始めました。下流側スコープ3の3つのカテゴリーにおける排出量をよりよく理解して定量化する上で、当社は現在のベースラインから双方共通する下流側スコープ3の排出量を削減する革新的方法を特定するためにお客様と協力してまいります。
例として、以下のような手段によります:
- 使用するエネルギー消費量を削減するために消費者への啓蒙と取り組み
- 代替できる当社原料を供給し、お客様の製造に伴う排出量を削減
- 要求を満たす新製品の開発で、使用段階での排出量を削減
使用した製品のライフサイクル終了に伴う排出量を測定することで、当社はバイオベースの原料への移行によるメリットを定量化でき、またお客様もそうしたメリットを具現化することができるため、大気中へのさらなる化石燃料の放出が避けられます。この分野における当社の検討は開発を続けており、2023年初めに発表予定の削減貢献度に関するWBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)のガイダンスに一致することを目指します。
排出削減
当社はその事業活動における再生可能エネルギーの使用を最大化し、世界の気温上昇を産業革命以前の水準から1.5℃に抑え、「科学的根拠に基づく目標(SBTs)」を達成します。
気候非常事態に取り組むことは世界的な課題であり、クローダにとっても優先事項です。
当社のオペレーションやサプライチェーンを脱炭素化し、イノベーションを応用し、使用することでメリットが得られる持続可能な原料を提供することで、当社はお客様の脱炭素化への目的もサポートしています。当社の主導的立場は、業界にわたり、またそれを越えて当社がネットゼロへの移行に声を上げて主張できることを意味します。気候関連のリスクと機会を取り巻く当社のリーダーシップは、CDP(Carbon Disclosure Project)により認められ、2022年の気候変動開示においてA-を獲得しました。2022年末において当社はスコープ1および2の排出量を基準年である2018年から19.8%削減しており、1.5℃という当社の「科学的根拠に基づく目標(SBT)」の達成に向けて順調に歩みを進めています。
当社の脱炭素化ロードマップに対する妥当性評価
当社は2022年、非製造拠点を含むすべてのクローダの拠点において、2029年末までにいかにスコープ1および2の排出量を50%削減できるかを示す脱炭素化ロードマップを完成させ、重要な節目に達しました。
内部カーボンプライス
2020年以降、当社はスコープ1および2の排出量を削減するプロジェクトを優先し、投資回収期間を短縮するため、設備投資プロジェクトに内部シャドーカーボンプライスを適用しています。2022年には英国政府のグリーンブックに沿ってこの価格をトン当たり55ポンドから124ポンドへ増額し、炭素コストに影響されないための一層の気候変動対策への重要性や、また当社が可能な限りスコープ1および2の排出量をゼロにする能力への投資によって温室効果ガスの排出量を増やさずに企業成長を確保することの重要性を明確に打ち出しました。
気候変動へのリーダーシップ:製品のカーボンフットプリントデータ
2022年、クローダは上位13製造拠点の全製品のカーボンフットプリントデータの算出自動化に取り組みました。これは製品当たりの原材料入手から製品出荷までのフットプリントを計算するために各拠点の活動ベースでの原価計算データを用いる必要があり、原料に関連する排出量が含まれます。このデータには2つの主な目的があります:
社内的には、これにより各部門はデータ点として、カーボンフットプリントによるポートフォリオマネジメントの判断を行うことができるようになり、これが次世代の低炭素製品に対する情報源となります。各部門チームは2023年中に2030年の脱炭素化ロードマップを完成する予定であり、各製造拠点ですでに実施している対応にとどまらず、スコープ3を含める予定です。
社外的には、このデータはお客様にとっても重要なものとなります。お客様は原材料購入に関連するスコープ3の排出量を算出し、その削減を目指すためです。当社は基準年である2018年からの削減量を実証できる数字を提供することができ、また将来の削減量も示して当社のお客様のサプライチェーンにおける「科学的根拠に基づく目標(SBT)」を支援することができるようになります。
社員の取り組み
72か所の低炭素拠点は当社のスコープ1および2の排出量の4%を構成している状況ですが、2,652名の社員を採用しており、よってこれらの拠点で目に見える対策を採ることは、当社の脱炭素化へ向けた行程に全社員を関与させるためにも重要です。非製造の全拠点で共通して必要とされる主な対策は、社用で保有する車両の電気化と再生可能電気への移行です。会社の保有車両方針を支えるため、各地域にグローバルガイダンスを発行しています。こうしたロードマップ策定に向けて取り組む中で、また対策をとることによって、いくつかの拠点は2023年にカーボンニュートラル(スコープ1および2の排出量ゼロ)を達成する予定です。
スコープ3の排出量
2021年に業界をリードするきめ細やかなスコープ3目録を開発した当社が2022年に重視したのは、部門の脱炭素化ロードマップの開発用をはじめ意志決定の情報源となれるように組織全体でこのデータの視認性を高めることでした。当社は会社全体での四半期ごとの報告用に企業スコープ3ダッシュボードを開発し、上流側のスコープ3の各カテゴリーが見られるようになっています。また当社の持続可能な調達チームは、スコープ3の「科学的根拠に基づく目標(SBT)」を達成するためのロードマップを開発しています。当社の原材料を調達することに伴う炭素排出量の一次データを集めることが当社サプライチェーン内の脱炭素化活動のメリットを定量化する上で不可欠であることを理解する当社は、サプライヤの取り組みとサプライチェーンの審査に始まり、各部門が主導するイノベーションやポートフォリオマネジメントにより達成される長期的でより大きなインパクトをもたらす階層化アプローチを採用しています。
持続可能なイノベーション
当社はその有機原材料の75%を2030年までにバイオベースにするという野心的な目標を設定しました。持続可能なイノベーションを通じた石油化学原料からのこうした移行は、当社の成分が廃棄される際のさらなる化石炭素の大気中への放出を防ぎ、気候にプラスの影響をもたらします。当社の持続可能なイノベーション戦略は、既存技術の変形開発や代替となる新たなソリューションの発見にまで及びます。
新製品開発の設計段階において、当社の研究チームがサプライチェーンの専門家と協力し、社内での新規開発のバイオベース由来の含有率を当社のポートフォリオ目標よりもかなり前倒しで最大化することを目指しています。2022年末において、当社の有機原材料の59.4%がバイオベースでした。PTIC 事業を売却したことは進捗に影響を与えましたが、当社の目標に変わりはなく、目標の水準を高めています。
2022年、当社は購入するすべての酸化エチレンをバイオベースへ移行することを世界的に約束しました。バイオベースの酸化エチレン(バイオEO)へのこうした移行は、100%バイオ由来の界面活性剤のECOシリーズにより北米で順調に展開しています。ヨーロッパとアジアでは、当社のリーダーシップが触媒となって複数の拠点で急増するバイオEOの供給力が急増し、来年のバイオEOの初利用に向けて順調に進んでいます。さらに、入手源が容易に利用できないところでは、上流側でのスコープ3の炭素量節減が可能な場合、各チームが再生原材料から酸化エチレンを使うことを研究しています。
当社の持続可能なイノベーション戦略は、生分解性の増大や純度の向上、製品の環境フットプリントの低減など、製品のライフサイクル全般にわたる当社原料のフットプリント削減も重視します。この全体論的アプローチにより、製品のライフサイクルに関するあらゆる側面を設計段階で検討することが徹底されます。初期の発見段階では、安全で持続可能な設計という枠組みの中で、一部の既存製品に代替手段をもたらす新たな革新的な技術のプラットフォームやプロセスを研究しています。